ノミ騒動が一段落し、レオの毛並みもフカフカと更に可愛さに磨きがかかって来た頃、レオがいつも座っている椅子の上で妙なものを発見しました。
それは、どう見てもごま粒です。少し透明がかったほんのり赤いごま粒・・・。
その頃、朝食によくごま付きのパンを食べていた私は、きっと食べかすが落ちているのだろうとしか思っていませんでした。
ところが、そのごま粒は、次の日もその次の日も落ちているんです。
さすがにちょっと無気味でしたが、それでもやっぱりごまだと思い込もうとしていました。
ある朝目覚めると、レオがベッドに潜り込んでいてすやすやと眠っています。ネコといっしょに眠るのって、動物好きにはやっぱり嬉しいですよね。私も嬉しかったんです。
次の瞬間までは。
そう、あのごま粒が、レオを中心にベッド中に散らばっているではないですか!
「もしや、これは目黒のあの博物館で見たアレでは・・・」
ほぼ確信に近い状態で、その日は予防接種の為、レオを病院に連れていきました。念の為、例のごま粒もセロテープで採取して、いっしょに持って行きます。
そのごま粒を見せると、先生はきっぱりといいました。
「あっ!寄生虫だ!」
予感適中!なんとレオは寄生虫に寄生されていたのです。
レオに寄生していたのは”ネコ条虫”といって、ノミを媒介して体内に入り込むものでした。ノミがネコの血を吸う時に血液中に侵入し、その後ネコの腸内に住み着くのです。条虫とは、要するにさなだ虫ですかね。細長いカラダがいくつもの節に分かれていて、その節々がブチブチとちぎれて、レオの肛門からカラダの外に出て来て乾燥したものが、例の”ごま粒”だったのです。
そのままにしておくと、栄養障害などを起こしてしまうらしく、虫下しを飲ませました。
「もしかしたら、出て来たウンチの中に、白い条虫が動いてるのが見えちゃうかもしれませんよ」と先生。
幸いな事に、うごめく白い物体にはお目にかかれませんでした。
そしてその後、ごま粒を見かける事はなくなったのですが、私には一つの心配事が。
実は例のごま粒は、外に出ている時は乾燥した状態なので別に動いたりしないのですが、もし体内になんらかの形で侵入した場合、・・・復活するんです・・・。
「・・・先生、人間にも寄生しちゃいます?」
「ああ、大丈夫。寄生されても害のない寄生虫だから。寄生虫を研究している学者は自分の体内で寄生虫を飼ったりする人もいるからね。ハッハッハ。」
・・・寄生するのね・・・。
ごまだらけのベッドでレオと共に寝ていた私の体内には、もしかしたら寄生虫がいるかもしれない・・・。
ちなみに、目黒の博物館とは”目黒寄生虫博物館”のことです。
楽しくもおぞましい、素敵な博物館です。
ぜひ一度、寄生虫ワールドを体験してみて下さい。