私のフルートレッスンでは、ほとんどの場合私がピアノ伴奏を弾いています。
一人で演奏するよりピアノ伴奏が付いていた方が圧倒的に楽しいからですが、実はそれだけではない訳もちゃんとあります。
今回はその理由について説明しましょう。
まず質問です。
皆さんはフルートを練習している時、どんな楽譜を使っていますか?
楽器屋さんでフルートの楽譜を購入すると、ほとんどの場合、フルートの旋律だけが書かれた”パート譜”と”ピアノ伴奏譜”がセットになっています。
そして演奏やレッスンで使用するのは、パート譜だけということがほとんどだと思います。
たまに、「この分厚いけど使わない楽譜(ピアノ譜のこと)はなんで付いているんですか?」なんて質問をされることもあります。
もちろん練習においては、自分のパートの演奏スキルを向上させることが第一の使命かとは思います。
しかし、本当にそれだけで大丈夫ですか?
独奏曲やエチュードでない場合、作曲家はフルートだけでなく、ピアノの伴奏、あるいは他の楽器とのアンサンブルが全て入ったスコア(総譜)を作成します。
そう、作曲家が本来意図していた曲は、フルートパートだけではないアンサンブルとしての演奏形態なのです。
楽譜にはたくさんの情報が詰まっていますが、伴奏譜やスコアまで見ている方は実は少ないようです。
しかしこのスコアの中には作曲家の思いが詰まっており、曲の構成やメロディ、モチーフ、和音進行、リズムやテンポ、他の楽器との絡みなどなど、たくさんのことが読み取れます。
これらを読み取って理解することを楽曲分析(アナリーゼ)と言い、その曲を深く知るためにはとても有益な方法です。
でも、音感やピアノ経験がないと何を読んでいいのか、何を分析していいのか分からない場合が多いのです。
そこでピアノパートを実際に演奏することによって、ピアノや他の楽器がどんな動きをしているのかを聴くことができ、感覚が磨かれ、さらに曲の内容も理解しながらレッスンすることができるのです。
「なんかこの曲(メロディ)はよく分からないんですよね」なんて言っていた方も、伴奏を付けると「こういう曲だったんですね」「しっくりきました」なんて急に分かってしまうから、音の力ってすごいですよね。
なにより、伴奏が付くととっても楽しいのです!
私が一番最初に師事した先生もピアノ伴奏を付けてくれる先生でした。
まあ子供の頃だったので、分析がどうとかよりもほとんど感覚で演奏していた気もしますが、そのお陰で、自分のパートだけでなく他の楽器の音をしっかり聴いて合わせる、アンサンブル能力が身に付いたと思います。
(さらには楽曲分析大好き人間になってしまいました。先生ありがとう。)
いつもは私がフルートを吹いて伴奏はお願いしている身なので、レッスンで自分が伴奏する立場になるとよりいろんなことが見えてきてすごく勉強になります。
まあ、伴奏が簡単な曲ばかりではないので、ハイレベルな曲になると私も長時間ピアノの練習が必要になり、ヒ〜ってなってることもありますが(笑)
むしろ難しい曲どんと来いです!
もちろん段階を踏んでレッスンしていますので、初心者のレッスンでいきなり楽曲分析とか始めないので安心してくださいね。